銀行の情報システムの歴史

同じ金融機関でも、業態によって情報システムの性格が異なる

即時性に関して言えば

銀行
資金の決済は単独の銀行で成立せず
銀行同士のネットワーク・システムで対応する
このため、
決済に関する顧客の利便性を向上させたり、
決済リスク(予定通りに決済できないリスク)を減らしたりするために
「業界全体での即時性」が必要

一方

証券会社
注文システムは同業他社より早い「瞬時の即時性」が必要
株式は買値と売値が一致した時に売買が成立するが
同じ価格の取引が多数ある場合は少しでも早く市場に注文を出した者に優先権がある
また、
売買注文は朝の一時期に集中するため
瞬間的な処理能力も必要

情報活用に関して言うと

証券会社
市場の利用者に対する情報提供は必須
不特定多数の市場参加者に発信した情報で
株式の価格、取引量、取引相手が決定

対し

銀行
乖離手の支払い能力の審査や借り手の監視
(情報生産機能)によってビジネスが成立する
情報は公開するものでなく自分の為に活用される


情報システムの種類は主に2つ
 ・基幹系システム
 ・情報系システム
これらもまた業態によって意味合いが異なる

例えば

証券会社の情報系システムは
主に機関投資家や個人投資家に提供する情報を扱う情報システムを指す

一方

銀行の情報系システムは銀行内部で使用する情報を扱う情報システムを指す


銀行の情報システムの歴史

高度経済成長期(1950後半~73)
この時期は急増した事務作業の合理化・省力化が目的

60年代半ばに普通預金のオンライン処理が稼働
初めから、預金、貸付、為替業務(※)を含む「総合オンライン・システム」を稼働させた銀もあった
この頃のオンライン・システムは「第一次オンライン」と呼ばれるようになる

※為替業務=振込や送金による現金を使わない決済

当時、営業店事務の削減に効果を発揮したのは
公共料金引き落としや給与振込のための口座振替バッチ処理である
=センターカット
センターカットは、預金のオンライン化「営業店元帳」のデータを事務センターに集中させたことで可能となった

電話・電力・ガス会社の自動振替を希望する企業が
振替データを銀行の事務センターに磁気テープで撃ちこむようになったことで
センターカットの省力化効果はさらに躊躇になる

70年代前半
CD(現金支払機)の運用が開始
合理化・省力化に顧客利便性の観点が足された

73年
全国銀行データ通信システム(全銀システム)が稼働
これは、国内の金融機関の間で振込などに関する通知の授受と決済のためのオンライン・システム

安定成長期(74~90年)
時代は「投資超過経済」「貯蓄超過経済」に移行
以下を背景に「金融自由化」(規制緩和)を促進
・企業の海外進出に伴う金融国際化
・財政赤字拡大で大量発行された国際の市場での消化

60年代
普通預金のオンラン処理が開始
第一次オンラインは、普通預金以外に当座預金や定期預金、為替業務など多科目を処理できる「多科目オンライン」に進化
ただし
科目別縦割りシステムだったために合理化・省力化効果は限界に

70年代中頃
科目横断的な顧客情報ファイルで科目間の連動処理が可能なオンライン・システム(第二次オンライン)が登場
第二次オンラインは
CD・ATM(現金自動預払機)の銀行間共同利用システム、
国際間銀行データ通信システム(SWIFT=Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)、
複数銀行に散在する口座資金の一元管理を可能にする共同CMS(Cash Management Sysytem)への接続
など逐次ネットワークを拡大した

その後も機能拡張要求が膨れ、新システム(第三次オンライン)の開発に踏み出す
第三次オンラインは80年代後半に稼働開始
金融自由化への対応に必要な情報活用の為にデータを体系的に整備・充実が叶った

三次オンラインとほぼ同時期に
日本銀行金融ネットワークシステム(日銀ネット)の稼働も開始(88年)
日銀は、金融機関間の取引で生ずる貸し借りを、各金融機関が日銀に保有する当座預金の振替で決済している
他に国債の決済なども日銀ネットで処理されている

80年代後半
オプション(将来特定の取引を行う権利)、スワップ(通過や金利の交換)、先物取引(売買や取引を予約する取引)等の金融派生商品(デリバティブ)もまたシステム化
デリバティブにもRISC(縮小命令セット)コンピュータの高い計算能力が活用された

平成不況期と回復期(91年~)
74~90年は資金余剰時代の安定成長期
行き場のない資金は不動産や株式に投資され80年代後半からのバブル経済に
89年からの金融引き締めでバブルは崩壊
金融機関は不良債権処理に追われる
官民あげての金融システム安定化努力の結果、安定期につく

三次オンラインは機能拡張を続けながらも稼動

90年代以降は
銀行の経営管理の高度が観点
93年3月期決算から本格実施された「BIS自己資本比率規制」は「リスク資本アロケーション」という経営手法を銀行にもたらし
その支援に情報システムが活用されている

BIS自己資本比率規制とは
国際的に活動する銀行が守るべきルールで
各国中央銀行の中央銀行として世界的な金融システムを守っているBIS(国際決済銀行)が定めたもの
コンセプトは
銀行が抱えるリスクは自己資本でカバーすべきとするもの
その自己資本を効果的、効率的に活用するために採られた経営管理手法がリスク資本アロケーション
この管理手法は膨大な計算作業を伴うため情報システムの支援が必須

他に
銀行の抱えるリスクを計量的に把握できる「VAR(Value at Risk)」を使った[リスク管理システム」,
信用リスクと関係が深い変数(企業属性や財務諸表など)の組み合わせから計量的に信用度を割り出す「クレジット・スコアリング手法」に基づいた「与信格付システム」
銀行が保有する資産ポートフォリオ(貸出債権の組合せ)をリスクを考慮しながらより望ましい姿に変化させる「CPM(クレジット・ポートフォリオ・マネジメント)システム」
なども開発された

規制緩和に伴う総合金融サービス提供への対応も
90年代以降の銀行情報システムの特徴

90年代以降はインターネット・バンキングも登場

98年には編成に伴う銀行間のシステム統合でトラブルも多発


金融システムの特徴

大別すると
日・独・仏型の「銀行中心型システム」と
英・米型の「市場中心型システム」がある
また
銀行制度に
「商業銀行主義」と「兼業銀行(ユニバーサルバンキング)主義」
がある

商業銀行主義とは
「銀行は短期金融業務を中心に行い、証券業務や長期金融などはそれぞれの業務に特化した専門金融機関が行うべき」というもの
流動性の高い預金を原資として貸出をしている限り
短期の安全確実なものであるべきという考えが基

兼業銀行主義とは
銀行は証券業務や長期金融などあらゆる金融業務を行うべきとするもの

これまでの日本は「銀行中心型の商業銀行主義」となる
銀行中心型なのは
戦後、脆弱な経済を立て直すために銀行を通じて資金が流れる仕組みを行政が制度として強制したため
資金の流れを市場の仕組みに任せる「市場中心型システム」でなく
預金として銀行に集め、政府が重要と考える産業に必要な資金を割り当てる「銀行中心型システム」となった

しかし
銀行がリスクを一手に負うことを避けるためには
企業が市場を通して資金調達し、広く投資家がリスクを負担する市場中心型システムの機能を活用する必要がある
銀行中心の現在の仕組みに市場性を加味した「市場型間接金融システム」が求められる

銀行制度としては総合金融サービスを提供する兼業銀行主義が求められる

日本の金融システムも実際に
市場型間接金融システムを目指して変化過程にある
市場型間接金融システムにおける銀行の役割の一例:
投信の銀行窓口での販売(窓販)や保有貸出債権の市場での証券化



ref:
Part15 銀行編(1) 銀行の基本的な役割と情報システムの発展経緯
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/lecture/20080111/290869/?ST=selfup&P=4

tag:
基幹系システム 情報系システム 第一次オンライン センターカット 全銀システム 第二次オンライン SWIFT 第三次オンライン 日銀ネット

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2014-04-27 14:39 : 金融 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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